モノクロ

柳井伸彦

よこやまなおき君へ

どうも、なんだかここのところ毎回告知でもなく明るいことでもなく、
申し訳ない気もするのですが、
何かを書こうと思いたったときはどうにも・・・。

今回はまた別の、記事と言うよりは「ほぼほぼ日記」、
つまり独り言のようなことを再度更新させていただきます。
まあ、いままで通りですね、はい。

正直迷ったんですが。
ツイッターでも結局何も触れずじまいで。
僕のよこやま君との距離感がとても曖昧なんですね。
でももし僕が彼なら。
なんだっていいから喋ってほしいんじゃないかなと思ったもので。

僕の中にも確かに彼は今でも在る。
そのことを証として残しておくというのは、
どんな些細な事だって良い、あればあるだけいいんじゃないかなと
思ったもので。

僕がよこやま君と最初にお会いしたときの場面は
今でも鮮明に頭に焼きついています。

僕の中学からの地元の友人のところに、
旅行感覚で遊びに行ったときでした。
友人は当時大学生で、大学の漫研に入っていまして、
せっかくだからとその大学の漫研にもお邪魔しに
行かせてもらったのでした。
研究会の皆さんが本当に暖かく接してくださったのを今でも
懐かしく思い出します。
僕ははそのころ介錯先生のアシスタントをしていまして、
「実は介錯先生の大ファンの子が居るんだ」と友人から
聞いていたのですが、
部室にお邪魔していてほどなくすると、
いきなり元気よく満面の笑みで、
当時の介錯先生の執筆していた単行本を
両手で胸に抱えて飛び込んできたのが、
よこやま君でした。

たかだかアシスタントの僕を、
尊敬してくれているような眼差しで、
いろいろと質問攻めにあいながら、
おしゃべりをしたのを今も覚えています。

それから何年後でしょうか。
彼は大学の卒業と同時に、
なんと漫画家を目指して単身上京をしたんだと
聞きました。
すでにデビューが決まってのことだったっけ?
曖昧な記憶で申し訳ない、よこやま君。

そしてすぐに商業デビューが決まって
連載まで行ってしまったんですよね。
このへんは、ごめんね、
詳しく分かってないので、彼や彼の漫研のお仲間の
方達にツッコミが入るかもしれません。

僕は正直、そんなよこやま君のすさまじい行動力と
バイタリティーに嫉妬していたんだよね。

でもあなたの訃報が広まってから、
とてもたくさんのファンの方々の、あなたを悼む声を目にして、
あらためて、すごい作家だったんだなと再認識しました。
嫉妬なんてくだらない感情、本当に申し訳ない。

でもいつも思うんですが、こういう言葉って
ほんと、今更ですよね。
「いや、今言われても」って思うよね。
僕なら絶対思う。ほんと、ごめんなさい。

みんな恥ずかしがっちゃうんですよね。
だめですね、そういうの。


僕が今特に思ってしまうのは、
これはよこやま君のリップサービスというか、
おべっかで言ってくれたことだとは思うんですが、
僕に衝撃を受けて漫画家を目指した部分もあるんだと
言ってくれたことなんですね。

僕がよこやまくんの人生の道程に、
少し矢印をつけてしまった部分も
あったのかなと思うところなんです。

自意識過剰、はなはだしいかも知れないんですが。

そんな彼が孤軍奮闘して上京したというのに、
僕は少し距離を置いてしまっていたところが
あったと思います。

先に触れた嫉妬というのも少しあったかも知れませんが、
ほんっとくだらない事なんだけど、
なんだか距離の詰め方が分からなかったというのも
あったんです。

これも単なる自意識過剰だったらほんと
お恥ずかしいというか、それならそれで
安心するところなんだけど。

それで、僕がまだアシスタントをしていたときだったと
思います。確か僕がツイッターで何気なく、
「メイド喫茶とか行ったこと無い」などと
つぶやいたときに、
「じゃあ行きましょう!」とすぐに返してくれて、
初めて秋葉のメイド喫茶に一緒に行ったんです。

彼と会ったのはそれが最後になってしまいました。

そのときもやっぱり変わらず漫画のことを熱心に
語っていましたよね。
ここ数日、ツイッターなどでの色んなお知り合いやご友人の声を目にして、
彼は誰に対してもそのときと同じように
まっすぐで熱い人だったんだなと、あらためて感じました。

僕が今思うのは、
よこやま君が漫画と共に歩む決意をしたこと。
いや、
彼なら「最高に決まってる!」と返すに決まってますね。

ただ、だとしても、全然足りないよね。
まだまだ描いて描いて描きまくりたいにきまってます。
悔しくて仕方が無いはずだよね。

本当に、残念で仕方が無いです。

僕がこれからできることはなんだろう。
彼の分まで、なんてくだらない事は言えない。
彼自身が描きたいに決まってるのだから。

それでも、とりあえずは、描こう。
描けるだけは、無理しすぎず描いて、
いつかなるべくおみやげ話を持って行きます。


よこやま君が亡くなったということを、
僕はただネットと友人を通して伝え聞いただけですので、
詳細を知りません。

よこやま君、こんなところで申し訳無いですが、
あなたの証をここにも残しておきました。
微力すぎてごめんね。


すごく考えるんだけど、こんなところに
ちょこっと書いたところで何になるんだとも
思うんだけど、無理に広めるのも何か違う気がして。

とりあえず、今はこのくらいですが、記しておきます。

よこやま君、
こういうとき、いつも思うんですが、
すごく気の利いたことをお伝えしたいんですが、
今更ほんとに何を言ってもですよね。

漫画家 よこやまなおき君、

心より、ご冥福をお祈り申し上げます。



柳井伸彦



テーマ:漫画 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2018/09/20(木) 22:31:15|
  2. ソノタ
  3. | トラックバック:0

思ったこといろいろ

どうもお久しぶりです。

まさかと思った事でしょう、そうでしょう。
このSNSが隆盛を誇るご時世、こういったブログは
一度更新が途絶えると決まってもう二度と息をしなくなるものです。
だが!
もはや誰も見ていないであろうブログを
気まぐれで更新してみます。

とはいえ、
えらいもので、これだけの月日が空いても漫画家という職業は日常生活で
何も特筆するものが生まれないんだと驚くばかりです。

はい、そうです。ただただ机に向かうばかりです。
でもそれがどれほど幸せなことだろうと、
日々実感しています。

8月に入って思うことは、
漫画を描くということをお仕事にさせていただいて、
はやくも7年が経つんだなということです。
丁度これくらいの時期だったと思います。

未だに僕にはあまりプロとしての自覚が無くて、
漠然となのですが、「10年やれたら何かが見えてくるんじゃないか」
つまり、少しは自覚がもてるんじゃないか、自覚と言うか、もう少しカッコよく
いいますと、誇りのような、自信のようなものが持てるんじゃないかと思っているんです。

僕の中では親しくさせていただいている周りの作家の方々が、
誰であれ尊敬すべき「先生」なんです。

奥さんと日常の会話をする中では、僕に近しい作家の方々でも、未だに皆
「○○先生」と、“先生”を付けて話しています。
逆にいつまでたっても距離を空けているように思われるかも知れないんで、
知り合った作家の方には、直にお会いするときはなるべく「○○さん」とお呼びするように
してるんですが、どうにも慣れないんですよね。

長年漫画家の「先生」に師事するアシスタントであったというのも大きいかも知れません。

ある意味いいことだとは思うんですけどね。
悪い部分で言えば、卑屈になりすぎるというのは良くないなと思います。

最近はずっと「承認欲求」について考えます。
人間と言うのは「人と比べる」ということが世の中の全ての敵であり、
しかしもう一方では繁栄に繋がっているんだなと、
足りないオツムで偉そうに考えていたり。

漫画を初めて連載できるとなったとき、
僕はもう何もいらない、こんな幸せなことはないと
思ったものでした。

「絵を描いてお仕事にできる」ということ、
ただそれだけで本当に満足でした。
それが一番の夢だったはずです。

ですがこれが人間なんですね。
まてよ、僕がそうなのか?
いえ、・・・たぶん僕くらいの立場(認知度)の作家の方々は
皆抱いてるんじゃないかと思います。少なからず。

今度は「承認欲求」が出てくるんですね。
これが最近はやっかいで、どれだけ真っ当な言い訳で
丸め込んでも、心の奥底にくすぶるこの真実はなかなか完全に消せるものじゃ
ありません。
それにとらわれちゃいけないことは分かるんです。
「描くことを楽しむ」という一番の幸せを忘れちゃいけない、
描くことが、承認欲求(しかもその欲求は「いつかもしかしたら満たしてくれるかも知れない」という
長い未来の不確かな、曖昧な期待)を満たすための過程になっちゃいけない。

でもそんな大切で当然のことも、くすぶる真実の前では「言い訳」になっていってしまうんです。

久々に本屋に行きました。
自然と足を運ぶ漫画コーナー。
そこで見る光景にいつも圧倒されます。

「こんなに沢山の漫画が今はあるんだ!」と。
いつも思います。
この中で僕は目立たなきゃいけないんです。
そりゃあ無謀な話ってものです。
そりゃあ生半可なことやってちゃ埋もれるばかりです。

こういうお話をしたくても今まではずっと話さないでいました。
というか話さない人のほうが殆どですよね。
なぜなら、全部僕が言ってるこの悩みは、「知らねぇよ」で片付くからなんです。

漫画と言うものは、いえ、「娯楽」と言うものは、
「面白ければ」、「上手ければ」、おのずと目立つからです。有名になるからです。
売れるからです。

僕が言っていることは、自分の力量のなさをさらけ出してるに過ぎないんですよね。

それに筆で表現するものは筆だけで語ればいいし、
なにしろカリスマ性を持った方は日常を語りません(笑

単純に「かっこ悪い」ので嫌だったんです。


でもそうですね、なんでしょう。
もう言っちゃおうと(笑)
ほぼ見られていないブログというのもあって、
日記のようにつづってみようというのもありますけど、
どれだけかっこつけてみても、今のこの悩みはくすぶり続けるままだろうと
思ったんです。

このブログだけでも、今のありのままの気持ちを素直に
つづってみようかなと思ったのでした。

ただ、前述で「人類の繁栄」と大仰に記したように、
この「承認欲求」というのは良い所もあるのかなと思っています。
それが向上心に繋がると思うからです。
ですからこの欲求が健全な、ポジティブな方向に向かえば
いいんだとおもうんです・・・・が。
なかなかそんな清清しいものじゃないんですね、人間というものは(笑

描くだけで楽しい。それはまぎれもなく本当です。
ただ、思い起こせば、漫画家になられた方は皆ほとんど経験しているんじゃないかと
思うんですが。
それは学生のとき、最初は近くの友人2,3人を楽しませたくて自由帳に、ノートに、
テストの裏に、漫画を描いたんじゃないでしょうか。
今思えば友人の気遣いだったかも知れませんが(笑)それでも
そこには直に友人の笑顔が、感想がその場で聞けたはずです。
それが楽しくて嬉しくて仕方がなかった。
もしかしたらあの時の嬉しさには、漫画を職業に出来た今でも
ある種勝てないかも知れません。

やっぱり反応が欲しいんです。褒められたいんです。
認められたいんですよねえ。

これこそが人間なんですね。


今はそんなことをよく考えながら、
それでも幸せを、楽しさを、きちんと大切にしながら日々を過ごしています。

仕事のことで言えば、そうだ、
最近とうとう僕もペン入れがデジタルになってしまいました。

今度はそんな事を日記にしてみますね。


それではまた。

ほぼ居ない訪問者へ。

ありがとうございました。

テーマ:漫画 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2018/08/25(土) 23:30:43|
  2. シゴト
  3. | トラックバック:0

なにも目新しいことがないんですが。

特筆することもないんですが
更新しとこうそうしよう。

たんたんと描いております。

わんころが居ないんで最近はしょっちゅう外食をしております。

いやぁ、あまり沈んだことを書くのもあれなんですけど、

発見といいますか、学んだことといいますかね、

自由は寂しいんだってことに気が付いたというか、
感じまして。

これってすごいなーと。

考えさせられるわけです。



ああ、そうだ。

ヒメノスピアの単行本なんですが、
来年頭辺りにどうやら出していただけるようです。

よかったよかった。

やっぱりカタチになるっていうのは
本当に嬉しいことだなと思います。
創作することの醍醐味ですね。
ただただ、ありがたいです。

さて。

今年ももうあとひと月ちょっとですか。

うひぃ~・・・

せっせとやりますか。

テーマ:漫画 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2017/11/19(日) 01:38:54|
  2. シゴト
  3. | トラックバック:0

ありがとう。ペコ。

はじめに。
今回のブログはちょっぴり長いです。
それでもよろしければ、読んでやってください。


先月の中ごろに、飼い犬のペコが重い病気にかかっていることを知りました。

これまでも何度も危険な状況を乗り切ったものですから、
僕たちは冷静に対処してすぐに乗り切れるつもりでいました。

しかし診断の結果は悪性の腫瘍、つまりガンでした。

気づいたときにはすでにギリギリの状態ということで、
脾臓と肝臓、もしかしたら肺にも転移の疑いがあるということでした。

それからはペコは闘いの日々で、
僕は仕事をしつつペコと妻のサポートをしていました。

こんなにも、なんでもなかった頃の普通の日常が
一番の幸せなんだということを感じたことはありませんでした。

それからの時間はとても濃密で、いろんなことを
ペコから教わりっぱなしの毎日でした。
一日一日がとても大切で、大変で、逃げたい気持ちもあったり、
先を恐れたり、それでも僕がしっかりしなければと、
なるべく普通の日々を過ごすようにしようと努めたり。

仕事道具一式を何度もリビングと仕事場にいったりきたりで移しては、
ペコの様子を見つつ仕事をしていました。

これはこれで辛いものもあったんですが、
よく考えてみれば、他のペットを飼ってらっしゃる
ご家族からしてみれば、なんて幸せなことなんだろうと。
あるときふと思いました。

心底今の仕事についていて良かったと。
今、このときだけでもいいから、と。



そしてそれからひと月とちょっとが経ち、
一昨日のお昼に
ペコは亡くなりました。


普段はあまり日常のことを書かないんですが、
僕はいつも勝手に「魔弾の王と戦姫」のコミカライズの巻末などで、
飼い犬のことなど私的なことを書かせてもらってたものですから、
このブログだけでもご報告させていただきたいと思い、
お伝えさせていただきました。



当たり前のことなんですが、
失くなったものは二度と取り戻せないということを
やっぱり実際には経験しないと分からないものなんですね。

ペコが僕の元にやってきたのは、11年前のことでした。
妻が実家で飼っていた犬で、そのときペコは3歳でした。

結婚すれば「ペコも一緒に来るけどいい?」なんて言われて、
妻が実家で飼っているころからけっこうなついてくれていたので、
僕は二つ返事で「うん、全然いいよ」と気前良く言ったものでした。

実際飼ってみるとこんなに大変なんだと思い、
その不満を言ったこともあったりして、
そのとき妻が言ったことは今もよく覚えています。

「もっと一緒に過ごすと、今思う可愛いって気持ちより、
別の深い可愛さに変わると思うんだよね」

ほんとにその通りで、僕たちにとっては家族、子ども以上の存在でした。

「ゆってもペットだから。」「そこまで思う?」って
思われるのは少し恥ずかしいかななんて思っていたんですが、
大事なのは他人がどう思うかじゃなく、
自分がそう思うことが全てなんだと気づかされました。
他人と比べるから自分の本当の幸せに気づけないんだと。
でもやっぱりいろんなことで比べてしまうのが人間なんですよね。

ほんとにこの約一月半、ペコにはいろんな事を
教わったんです。

アシスタントをしていた頃は5日間くらいの間隔で泊り込んでいたんですが、
自分の漫画を描かせていただくようになってからは
それこそ毎日のようにペコと一緒にいたので、
ちょっと依存度が普通ではなかったというのもありますが(笑)

でも泊り込みのときのほうが辛かったので、
今はほんとに幸せなお仕事を
させていただいていると思います。

原稿を描いていて、振り返るといつもそこにペコが居ました。

なぜか仕事場に居たがって、そのまま夜には寝てしまうんですが、
僕は夜遅くまでやっているんで電気も暗くできなくて。
そっとリビングにクッションごともってくんですが、
寝入りが浅いと「ぽっぽっぽっ」と足音がして、
また元に戻ってきてしまう。
しかたなく深く眠った深夜にこっそりまたリビングへ
持っていったり。
そんな毎日がずっと続くと思っていました。

犬を飼うのって日々の暮らしの制限がとても
多いんです。
散歩も毎日行かないといけなかったりと、
正直漫画家の暮らしには合いにくくて
大変だったりもします。
でもそれも含めての楽しさだったんだと気づかされました。

いざ、「はい、じゃあもう自由ですよ!」と言われても、
ぽかんとするばかりで。
ペコが居ての楽しさだったんだ、と。



今はまだ簡単には哀しさが薄れることはありませんが、
しっかり仕事は頑張らなきゃなと思います。

僕が弱ってたらダメだよね。
ペコは心臓の鼓動が止まるそのさいごのさいごまで、
声にならない声で何度も力を振り絞っていました。
その姿に心から感動して、尊敬しました。

その偉大な生命力を見習いたいと思います。

ペコ。
僕の元に来てくれてありがとう。
とても幸せな日々をくれてありがとう。
これだけ溢れる愛情に気づかせてくれてありがとう。


ありがとうね。
また会おうね。


peco.jpg

テーマ:漫画 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2017/10/26(木) 22:22:41|
  2. ニチジョウ
  3. | トラックバック:0

先月の中ごろからちょっと大変な日々を過ごしています。

ちょうどひと月が経とうとしているんだなぁ・・・。

どんなことがあれ、仕事で周りに迷惑をかけることはいけませんので、
なんとか頑張っているのですが、
それでも当初の予定よりかなり遅れてしまっています。

でもきちんと全うしますから。
関係者様、ご安心ください。
すでにちょっと遅れていることがご迷惑おかけしているわけですが(汗

この秋は忘れられない秋になりそうです。

寂しいけどやさしい空気

やっぱいいなぁ。秋は。

寂しいんだけど、このやさしさがいいんですよね。
気温とか、風とか。

でもちょっと例年よりは穏やかでは無いのかな・・・?


よっし。

後ひと踏ん張り、頑張ります。

テーマ:漫画 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2017/10/12(木) 02:14:34|
  2. ニチジョウ
  3. | トラックバック:0
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